クレジットスコアリング:パート10 - より大局的な見地 - 意思決定管理システム

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2017年11月22日

カテゴリー

データサイエンス

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筆者:英国 World Programming シニアデータサイエンティスト Natasha Mashanovich

「小さな断片が全体像を作り上げるのが常である。」 - 今シリーズの前回の記事では、クレジットスコアリングの主要な要素、スコアカードモデルやスコアリングの戦略、実装やモニタリングを含む道具一式について説明しました。これら一つ一つの断片をまとめることで、 enterprise decision management(EDM)システムのより大きな全体像を構築します。ただし、これでもまだ完全な信用リスク決定処理を実行するには十分ではありません。完全な EDM の全体像を作り上げるには、顧客申請処理や内外部のデータ収集、方針規則、不正検知とリスクの管理・最適化・無効化のための追加分析モデル等さらにパズルのピースが必要になります。

EDM システムは、データ、理論、インターフェイスという3つの基本的な構成要素によって、データ・モデル・知識・伝達・ドキュメント主導の意思決定過程を通した実用的な意思決定へのデータ解釈のためのフレームワークを提供します。以下の項目を満たすことが出来る場合のみ、意思決定システムは価値あるものとなります。

  • 自動化
  • データとシステムの安全
  • 並行処理
  • 変更や拡張が容易なプロセスの増加を処理する性能の拡張性
  • 技術的、もしくはそうではない専門家でもビジネスプロセスを理解、共有、評価、監視できるような透明性
  • ローカルとリモートでのデータソースの多様性による不均質性、処理の同時性と非同時性

ビジネス決定は EDM システムの主となるアウトプットです。決定はビジネスプロセスの流れの中で消化され、他の処理で再利用することもできます。一般的にビジネスルールと高度な分析の混合は、信用リスクのための決定要件ダイアグラム(図1)を作成する際に検討されます。


図1。BPMN を使用したローン申請工程のための簡略化された決定要件

ビジネスルールは内外部の方針や規則、ベストプラクティスを含む広範囲なものになります。ビジネスルールの典型的な例には年齢要件や雇用状況、クレジットヒストリー、破産や帳消しの履歴、様々な不正の規則、既存製品についての組織内記録のようなものが含まれます。

無効化は、クレジットスコアのカットオフ値に基づいて決定を覆すことができるというビジネス決定の形態です。無効化は、スコアのカットオフによって却下された申請を承認することも、スコアのカットオフよりも上のスコアを得ていた申請を却下することもできます。モデルのスコアを無効化する理由は企業の特定の規則や除外基準のためです。

不正や滞納、債務不履行、過度な売買回転、もしくは申請者の購買力や顧客生涯価値の計算など申請者の多様なリスク要因を評価するビジネスプロセスの流れの中で多くの予測モデルを用いることができます。さらに稼働コストの最小化や粗利益の最大化のような異なる外界作用を考慮して、様々な最適化水準をプロセスの流れに追加することができます。Return on investment(ROI)分析はビジネス決定への影響を計測しまた、最適な決定戦略に情報を与えるビジネスプロセスの一部となることができます。

モデル管理とモニタリングは EDM システムの重要な追加的要素です。意思決定を改善するには、モデルモニタリング機能と機械学習アルゴリズムを通して、上級のビジネスプロセスが効果的な分析技術を組み入れる必要があります。既存の予測モデルのパフォーマンス劣化は、モデルモニタリング機能を使用して捉えられ、そしてリアルタイムでの自己補正を可能にする機械学習モデルへの自動フィードバックを返します。これは管理変更サイクルを著しく短くし、決定プロセスの効果を改善します。

信用リスクの決定プロセスは完全にカスタマイズでき金融機関独自のものとなります。しかしながら、これは複雑なシステムメンテナンスや人的資源、高いコストなどのリスクを孕んでいます。代替え手段としては、技術投資において必要なリソースが少なくて、運用コストが低く、より早く実装できる商用 EDM システムを選択することです。

商用 EDM システムは通常、データサイエンティストやビジネスアナリストがプログラミングの技術を持っていなくても、決定要件ダイアグラムの作成や入力するパラメーターの指定、モデルアウトプットの管理、ビジネスルールの実装、プロセスの平行処理もしくはアウトプットを他の内外のプロセスへ導くなどをクリックするだけで行える視覚的なプログラミング機能やユーザーインターフェースを備えています。

実装の容易性や迅速な変更、規則の遵守、構成要素のモジュール化などは EDM システムの大きな利点です。これらは複雑な本体の頭脳部分であり、調和したビジネス交響曲を奏でる一つ一つの構成要素を編成しています。

これで開発過程の最初から終わりまでを実演したクレジットスコアリングシリーズを終わります。この記事が有益な発見つながったり、内容に興味をお持ちいただければ幸いです。信用リスクの専門家にとっては、このシリーズがさらなる探究のための異なるアプローチ方法への道を開くかもしれません。信用リスク分野の初心者にとっては、このシリーズは長い道のりであり、しばしば困難ではあるが面白く刺激的な信用リスク管理への旅立ちの良いスタートラインとなるかもしれません。

このトピックについてさらに情報が必要であったり、さらに考察したい場合は当社まで E メールをお送りいただければ、喜んで考察やご意見を拝聴させていただきます。

追記。次の記事は「WPS 分析ツールのハウツー」という短いデモを含んだビデオシリーズです。ご期待ください。