クレジットスコアリング:開発プロセスの初めから終わりまで

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投稿日

2017年09月14日

カテゴリー

データサイエンス

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筆者:英国 World Programming シニアデータサイエンティスト Natasha Mashanovich

パート1:なぜクレジットスコアリングを行うのか?

理由づけ

多くの金融や小売業界が、顧客基盤を広げるために提供している「今買って後払い」というサービスは、魅力的な申し出です。しかし、サービスを提供する側も受ける側も、このような支払い方法を取ることに対するリスクに注意を払う必要があります。顧客が支払い義務を守り、ローンの期限が終わるまでに借りた金額を返すことは顧客にとっても貸し出す側にとっても重要なことです。貸し手は各顧客の債務不履行になるリスクを評価し、サービスを提供できるかどうかを決定する必要があります。

クレジットスコアとは?

技術の向上は顧客の多様なデータを利用することによって金融機関が貸し出しリスクを減らすことを可能にしました。統計と機械学習を使用すると、有効なデータを分析して、貸し出しリスクを表したクレジットスコアと呼ばれる一つの値に要約することができます。この値を決定の過程で参考にすることができます。クレジットスコアが高いほど貸し手の信用を得ることができ、これは顧客の信用力にもなります。クレジットスコアリングは顧客が支払い義務を果たさなかったり、滞納者や破産者になる可能性を測る予測モデルに基づいた人工知能の形態です。予測モデルは顧客の履歴データと共にピアグループデータやその他のデータを使用することによって、顧客の可能性を予測するために「学び」、定義された未来の動向を提示します。

クレジットスコアリングにおける最も有益な点は、顧客の審査の可否や、担保価格や利率、期間を増加するかなどの決定を素早く効果的に行うための手助けをすることです。このような決定を行う上での素早さや正確さは銀行や電気通信、小売などを含む部門に渡り、クレジットスコアリングを不可欠なものにしています。

クレジットスコアの種類とカスタマージャーニー

クレジットスコアリングは、顧客とその組織間に関わり合いのある期間中の顧客体験全体に及んで、カスタマージャーニーの始めから終わりまで活用することができます。最初はクレジットリスク部門のために開発されたのですが、マーケティング部門もまたマーケティングキャンペーンにおいてクレジットスコアリング技術を使用する利点があります(図1)。

図1で説明されている通り、カスタマージャーニーの異なるステージで異なるクレジットスコアが活用されます。

  • 申請スコアは申請者受け入れの可否を決定する際に、新規申請者の債務不履行になるリスクを査定します。
  • 行動スコアは与信限度や限度超過管理、新製品などに関する決定を行う際の、既存顧客の債務不履行になるリスクを査定します。
  • 取り立てスコアは債務返済中の顧客の取り立てに関する見込みを査定するための回収方策に使用されます。

図1。カスタマージャーニー全体を通したクレジットスコア

信用リスクスコアカード

ここ何年かで、多くの異なるモデリング手法がクレジットスコアリングに実装するために考案されました。それらはパラメトリックやノンパラメトリックから、統計的もしくは機械学習、教師有りもしくは教師無しアルゴリズムなどに及びます。最新の手法ではより高い精度を得るために、多くの異なるモデルや多様な検証フレームワークと集合技術を複合学習アルゴリズムと共に活用した非常に洗練されたアプローチを含んでいます。

このように多様性に富んでいるのですが、一つだけ飛びぬけて目立つモデリング技術があります。「クレジットスコアリング」モデルです。通常標準スコアカードと呼ばるものはロジスティック回帰モデルが基本になっています。他のモデル手法と比べると、この方法は必要事項を数多く満たしているため実務者が好んで使用するアプローチでありまた、90%近くのスコアカード開発者によって使用されています。スコアカードモデルの構築や理解、実装を行うことは容易でありまた、素早く実行することができます。統計と機械学習のハイブリッドであるため、その予測精度はより洗練された他の手法にも劣らず、スコアは確率推定として直接使用することもでき、このためリスクベースの価格付けの直接入力として使用することができます。これは貸し出す側にとってバーゼル II 規制枠組みを順守する上で重大です。直観的で簡単に正当性の説明と解釈を行えるため、いくつかの国ではスコアカードは唯一の信用リスクモデル手法として規制機関によって義務化されています。

スコアカードモデルの結果はいくつかの属性(顧客の性質)から成っており、一般的には表形式(図2)で示されます。属性内で、付けられた点(正負どちらも)はその範囲内で各属性値に割り当てられ、これらの点数の合計が最終的なクレジットスコアになります。

スコアカードの基準範囲点数
年齢25以下10
26から4025
41から6538
66以上43
収入20000-10
21000から4000016
41000から7000028
71000以上45
ビューローのスコア300未満-25
300から5000
500から56030
650から75050
750より上70
合計スコアポイントの合計

図2。標準スコアカードの形式